外観
テザリングモニター
テザリングモニターは、Android 端末の USB テザリングを経由してタスクを実行し、一定タスク数ごとに**機内モードの ON/OFF で IP を自動的に切り替える(IP ローテーション)**機能です。
同一 IP から大量にアクセスして発生する レート制限や IP BAN を回避する目的で使います。IP を切り替えずに、Android 回線経由でまとめて並列実行するだけの使い方もできます。
不要な場合はスキップできます
通常のプロキシや自宅回線でタスクを実行する場合、テザリングモニターは不要です。モバイル回線を経由したい、または IP を定期的に変えたい運用のときだけ使用してください。
仕組み
テザリングモニターは、タスクグループを指定して次のように動作します。
- Android 端末の USB テザリングインターフェース(
rndis0など)を検出する - そのインターフェース経由で通信するローカルプロキシを起動する
- グループ内の未実行タスクを バッチ(同時実行の単位)に分割して順に実行する
- Rotation が ON のとき、実行済みタスクが設定数に達したら 機内モードを ON → OFF して IP を切り替える
- 切り替え前後のグローバル IP を比較し、実際に変わったかを確認する
- 変わっていなければ、待機時間を延ばしながら自動でリトライする
タスクの通信はすべてローカルプロキシ経由で Android 端末の回線を通るため、PC 側の回線ではなくモバイル回線の IP でアクセスします。
Rotation が OFF のときは
IP の切り替えは行わず、Android 回線経由でバッチを順に実行するだけになります(IP は端末回線のまま)。「モバイル回線は使いたいが IP は固定でよい」場合はこの使い方になります。
前提条件
テザリングモニターを使うには、Android セットアップ を先に完了しておく必要があります。そのうえで、次の 3 点を満たしてください。これはモニター画面の**接続ステータス(ADB / USB Tethering / PC Interface)**とそのまま対応しています。
| 条件 | 画面上の表示 | 確認方法 |
|---|---|---|
| ADB で端末を認識している | ADB | adb devices で device と表示される |
| USB テザリングが ON | USB Tethering | 端末の 設定 → ネットワーク → テザリング → USB テザリング を ON |
| PC が回線を認識している | PC Interface | 端末経由のネットワークインターフェースが PC に現れる |
3 つがすべて OK になると、ステータスが Connected(緑) になり開始できます。
USB テザリングを必ず ON にしてください
USB デバッグだけでは足りません。端末側で USB テザリングを有効化していないと、テザリングインターフェースが検出されず開始できません。ON になっていない場合は、画面の Enable tethering ボタンからアプリ側で ON にできます(後述)。
機内モードで IP が変わる回線が必要です
IP ローテーションは、機内モードの ON/OFF でモバイル回線が再接続され、キャリアから新しい IP が割り当てられることを前提にしています。固定 IP の契約や、再接続しても同じ IP が返る回線では IP は変わりません(この場合はリトライ後に失敗として記録されます)。
起動のしかた(2 つの入口)
テザリング実行を始める方法は 2 通りあります。
A. モニターウィンドウから手動で開始
左サイドバー下部の Tethering(電波アイコン)をクリックすると、テザリングモニターのウィンドウが開きます。ここでデバイス・グループを選んで Start で開始します。以降の「使い方」はこの操作を説明します。
B. グループ設定から自動で開始
グループ設定ダイアログの Tethering Monitor トグルを ON にし、そのグループに Android デバイスを割り当てておくと、タスク画面でそのグループを実行したときに自動的にテザリングバッチとして起動します(モニターウィンドウを開く必要はありません)。
- デバイスが未設定のままだと通常実行にフォールバックします(テザリングは使われません)。
- 実行中の状態は、モニターウィンドウを開くと自動的にそのグループに切り替わって表示されます。
いずれの場合も、待機時間・Parallel・ローテーション間隔などの動作設定はモニターウィンドウの Settings が共通で使われます。
使い方(モニターウィンドウ)
1. デバイスを選ぶ
Device の欄で、テザリング元にする Android 端末を選択します。選択すると接続チェックが走り、ステータスが表示されます。端末が出てこない場合は Refresh(更新アイコン)を押してください。
接続ステータスの見方
Device パネルには、接続条件が 3 つのチップで個別に表示されます。
| チップ | 緑(OK) | 赤(NG)のときの対処 |
|---|---|---|
| ADB | 端末を認識している | USB ケーブル・USB デバッグを確認 |
| USB Tethering | 端末側テザリング ON | 端末で USB テザリングを ON(Enable tethering ボタン可) |
| PC Interface | PC 側 IF を検出 | 数秒待って再チェック(ON 直後は現れるまで時間がかかる) |
- 3 つすべて緑 → 右上が Connected(緑) になり開始できます。
- どれか赤 → Disconnected(赤)。赤いチップの下に、次に何をすればよいかのヒントが表示されます。
- USB Tethering が OFF のときは Enable tethering ボタンが現れ、押すとアプリから端末の USB テザリングを ON にして自動で再チェックします(IF が現れるまで数秒かかります)。Android 14 以降の端末では設定アプリのスイッチを自動操作するため、端末の画面ロックを解除した状態で押してください。失敗した場合はボタンの下にエラーが表示されます。
手動で IP を変える(Change IP)
Device パネルの Change IP ボタンで、バッチ実行とは関係なく その場で 1 回だけ機内モードを ON/OFF して IP を切り替えられます。結果がボタンの左に表示されます。
| 表示 | 意味 |
|---|---|
| IP changed: 変更前 → 変更後(緑) | IP の変更に成功 |
| IP unchanged (IP) — try again(黄) | IP が変わらなかった。もう一度押してください |
| 赤いエラーメッセージ | 切り替え処理自体が失敗(インターフェース検出失敗など) |
- 自動リトライはしません。IP が変わらなかったときはもう一度押してください。
- Connected(3 条件すべて OK)でないと押せません。また、そのデバイスでバッチ実行中は押せません(実行中は自動ローテーションが担当するため)。
- 機内モードの待機時間には設定の Wait(ms)、IP 確認には Timeout(ms) が使われます。成功するとステータス下の IP 表示も更新されます。
開始前の動作確認や、「今すぐ IP を変えたい」ときに使います。
2. 設定を行う
Settings パネルで動作を設定します。各項目の詳細は 設定項目 を参照してください。
Parallel は 1 以上にしてください
Parallel が 0(初期値)のままだと開始できずエラーになります。同時に実行するタスク数として 1 以上を設定してください。
Rotation は ON / OFF どちらでも開始できます。OFF の場合は IP を切り替えずにバッチ実行のみ行います。
3. タスクグループを選ぶ
Task Group で、実行したいグループを選択します。グループに紐づく未実行タスクの件数が表示されます(実行中・成功済みのタスクは対象外です)。
4. 開始する
Start ボタンを押すと実行が始まります。
Start が押せない場合は、次のすべてが満たされているか確認してください。
- デバイスが選択されている
- ステータスが Connected になっている
- タスクグループが選択されている
(Parallel が 0 のときは Start は押せますが、開始時にエラーになります。事前に 1 以上へ設定してください。)
途中で止めるときは Stop を押します。実行中のタスクを停止し、バッチを終了します。
設定項目
| 項目 | 既定値 | 説明 |
|---|---|---|
| Rotation | OFF | IP ローテーションの有効/無効。OFF でも開始でき、その場合は IP を切り替えずにバッチ実行のみ |
| Wait(ms) | 10000 | 機内モードの切り替え待機時間。ON 後と OFF 後にそれぞれ半分ずつ待ちます(既定なら各 5 秒) |
| Parallel | 0 | バッチサイズ(同時に実行するタスク数)。1 以上にしないと開始できません |
| Every(tasks) | 10 | 何タスク実行するごとに IP をローテーションするか(Rotation が ON のときのみ有効) |
| Pre-delay(ms) | 2000 | ローテーション開始前の待機時間。直前の通信が終わるのを待ち、レート制限を避けるためのもの |
| Timeout(ms) | 30000 | グローバル IP を確認するときの通信タイムアウト |
| Retry | 3 | IP が変わらなかったときに再試行する回数。試行ごとに待機時間が延びます(バックオフ) |
Parallel と Every(tasks) の関係
Parallel はタスクを何件ずつ同時に走らせるか、Every(tasks) は何件終わるごとに IP を変えるかです。
例えば Parallel = 3 / Every(tasks) = 10 なら、3 件ずつ並列に実行し、通算 10 件終わった時点で IP を切り替えます。
なお、同時に実行しているタスクは同じ IP を共有します。1 タスクごとに必ず違う IP を使いたい場合は Parallel = 1 / Every(tasks) = 1 に設定してください。
実行中の画面
ステータス
中央の大きなインジケーターに現在の状態が表示されます(円の中の ON/OFF は稼働中かどうかを表します)。
| 表示 | 意味 |
|---|---|
| Idle | 停止中 |
| Monitoring | タスク実行中 |
| Rotating IP... | IP ローテーション実行中 |
| Retrying IP... | IP が変わらず再試行中(括弧内は試行回数) |
インジケーターの下には、テザリング回線から見た現在のグローバル IP が表示されます。更新アイコンで手動再取得できます。
進捗
実行が始まると進捗パネルが表示されます。
- Batch … 現在のバッチ / 全バッチ数
- Tasks … 完了タスク数 / 全タスク数(実行中の件数も
N runningとして表示) - Rotations … IP ローテーションの成功回数(失敗があれば失敗数も)
- Next rotation … 次のローテーションまでの残りタスク数(Rotation が ON のとき)
- Interface … 検出したテザリングインターフェースとローカルアドレス
- Proxy … 起動中のローカルプロキシのアドレス(
127.0.0.1:ポート)
ログ
Log パネルに動作履歴が時系列で並びます。バッチの開始/完了、IP の切り替え結果(変更前 → 変更後)、変わらなかった場合の再試行・失敗もここに記録されます。
トラブルシューティング
「テザリングIF検出失敗」と出て開始できない
端末側の USB テザリングが OFF になっている可能性が高いです。Enable tethering ボタンを押すか、端末の 設定 → ネットワーク → テザリング から USB テザリングを ON にして、Refresh を押してから再度お試しください。
USB ケーブルが充電専用だと通信できないため、データ通信対応のケーブルを使ってください。
「Parallel が 0 のため開始できません」と出る
Settings の Parallel を 1 以上に設定してください(同時に実行するタスク数)。
Start ボタンが押せない
次をすべて確認してください。
- デバイスが選択されているか
- デバイスのステータスが Connected(ADB / USB Tethering / PC Interface がすべて緑)か
- タスクグループを選択しているか
Change IP が押せない
- ステータスが Connected になっているか確認してください(3 条件すべて OK が必要です)。
- そのデバイスでバッチ実行中は押せません。実行中の IP 切り替えは自動ローテーションが担当します。
IP が変わらない(Retry 後に失敗になる)
- 機内モードの切り替えが速すぎる可能性があります。Wait(ms) を長め(例:
20000)にしてください - 電波の掴み直しに時間がかかる場所では、Pre-delay(ms) も長めにすると安定します
- 契約や回線の仕様上、再接続しても同じ IP が割り当てられる場合があります。この場合はテザリングモニターでは IP を変えられません
タスクが失敗する / 通信が不安定
- モバイル回線の電波状況を確認してください
- Parallel を下げて同時実行数を減らすと安定することがあります
- ローテーション直後は回線が復帰しきっていないことがあります。Wait(ms) を長めに設定してください
Android 端末の接続がまだの場合は Android セットアップ を先に行ってください。